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2024年10月13日(日)創立記念日 神学校日

聖霊降臨節第22主日

 

礼拝説教「主イエスの叫び」          


願念 望 牧師

 

<聖書>

ルカによる福音書23:44-49


<讃美歌>

(21)26,1,280,526,65-2,27

 

 主イエスが十字架にかけられたとき、「神殿の垂れ幕が真ん中から裂けた」(45)とあります。神殿の垂れ幕というのは、神殿の奥にある聖なる場所、至聖所の入口の垂れ幕です。そこへは限られた者しか入ることができませんでした。至聖所という聖なる神に出会うところ、天へと繋がる区切りが壊されたということは、主イエスによってその区切りが取り除かれたことを意味すると言われます。主イエスによって、信じる者は誰でも救いを受けることができるのです。

 

 あるいはまた、至聖所の垂れ幕が裂けたということは、神殿に不可欠な至聖所を失い、神殿が壊れたことに相当すると言われます。実際、主イエスが死なれたことにより、主イエスという神殿が壊れたというのです。

 

 主イエス・キリストは、今日の個所で死に渡されますが、死は終わりではなく、死からよみがえられて、救い主として今も生きて働いておられます。その救いが世界中に広がるはじまりのしるしとして、神殿の垂れ幕が裂けたのです。エルサレム神殿に限らない礼拝がはじまったということです。エルサレムにある聖なる神殿を中心とした礼拝ではなく、復活された主イエスによる礼拝が世界中に広まっていったのです。

 

 主イエス・キリストが私どものために苦しまれたことを思うとき、主イエスは私どものことを本当に分かってくださると信じることができます。主イエスは共感ということよりもはるかに深い理解をもって、私どもと共にいてくださいます。

 私どもはいろいろなことで困難を経験しますが、自分ですべてを解決しようとしないで、主が共にいてくださることを信じて、苦難を主にあずけつつ励むことができます。主にすべてをゆだねて生きる幸いを、主イエスこそが十字架の上に示されました。

 

 主イエスは「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます。」(46)と言って息を引き取られました。「息を引き取られた」というのは、元々の言葉では、息を渡された、という意味です。神から吹き入れられた命の息をすべて父なる神に渡されて死なれました。

 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」というのが、十字架上での最後の言葉です。この言葉は、詩編31編8節の祈りの言葉だと言われます。「まことの神、主よ、御手にわたしの霊をゆだねます。わたしを贖ってください。」

 この祈りは、当時のユダヤ人たちの午後3時の祈りでもあったそうです。彼らにとって、日暮れになって日が沈みますと一日が終わりますので、午後3時の祈りは夕べの祈りでもありました。

 主イエスが夕べの祈りを十字架の上で献げて、すべてをゆだねていかれた。それによって、「わたしを贖ってください」という祈りが成就したのです。

 

 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と祈られた主イエス・キリストを信じて、私どもも、「わたしを贖ってください」と祈ることができるのです。

 

 伝えられているところによれば、マルティン・ルターも主イエスにならって、「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と祈って天に召されたそうです。しかしこの祈りは、天に召されるときだけの祈りではありません。ユダヤ人たちがそうであったように、「主よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と日毎の祈りとして祈り、神にゆだねる幸いの中で、精一杯生きることができるのです。

 

 主イエスが息を引き取られたとき、その命の息を受け継ぐようにして、そのそばで見ていた百人隊長が告白しました。「本当に、この人は正しい人だった。」百人隊長というのは、主イエスを十字架にかけるときの具体的指示をした人です。その百人隊長が、イエスを認めて、その魂に小さな信仰が芽生えたのです。伝説では、この百人隊長はキリスト者になったと言われます。

 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」という祈りを受け継いでいったのです。 百人隊長にとっての「正しい人」とは、「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と真実に祈って、神にゆだねて生きる人です。そのようにして心をまっすぐに神に向けて、神と結ばれて生きる人です。


本日は、教会創立78年の記念礼拝をささげています。礼拝ごとに、私どもは祈りを授けられて、祈る者として生きていきます。どうか私どももまた、主イエスの祈りの息を受け継いでいきましょう。

 「父よ、わたしの霊を御手にゆだねます」と日々に祈って、主の恵みを生き抜いていきましょう。




 

 
 
 

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