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2021年1月31日(日)聖日礼拝(礼拝は中止です)

【降誕節第6主日】

礼拝説教「神の真実に固く据えられているこの世界」

古屋治雄 牧師(阿佐ヶ谷教会・白鷺教会代務)

<聖書>

詩編96編


<讃美歌>

(21)16,361,360



 早新しく始まった2021年も1月最後の日となりました。世界中が、そして私たちの身近でもコロナウイルス対応で新年が始まり、目下なおこのことが最重要課題になっています。その中で今朝は、「新しい歌を主に向かって歌え」と高らかに呼びかけている、詩編第96編の御言葉が与えられています。讃美歌21の368番が新年に歌う讃美歌としてしばしば歌われます。「新しい年を迎えて、新しい歌をうたおう」と。2021年を困難に包まれて始めた私たちですが、主の助けと導きをいただいて、この年を歩み抜いて行きたいと願っています。

 それにしても詩編96編で呼びかけられている「新しい歌を歌おう」とは、暦が改まる時に呼びかけられているのではないことに気づかされます。ここで言われている「新しさ」とは暦の上でのことではなく、今まで神の民の中に、そしてこの世界の中に未だ示されたことのない「御救い」(2節)が示されたからであり、「驚くべき御業」(3節)が明らかにされたゆえに「新しい歌を歌おう」と呼びかけているのです。

 この呼びかけはイスラエルの民に止まりません、全地に向って呼びかけられています。どうしてこれほど壮大な呼びかけを語り得るのでしょうか。神の民にはこれまでの歴史で、大きな救いの出来事を経験してきました。エジプトを脱出した出エジプトの出来事がありました(出エジプト記15章など)。また王国時代に入りダビデ王が戦いに勝利したことも圧倒的救いの出来事として挙げることができます(サムエル記下22章)。しかしこの詩編96編では過去のそのような出来事を思い起こして「新しい歌を歌おう」と呼びかけているのではありません。過去に目を向けているのではなく、これからのことに目が向けられている中でこの呼びかけがなされています。10節以下にそのことがはっきり示されています。主なる神様が世界の真の支配者として正義と真実をもって「主は来られる、地を裁くために来られる」ことを確信しているゆえに、新しい賛美の歌を歌うことができる、と私たちにも呼びかけているのです。


 イスラエルの歴史の中で出エジプトやダビデ王の勝利に引けをとらない、圧倒的な救いの出来事に皆が与ることができた時代がその後にあったのでしょうか。またこの詩編に表明されている旧約の信仰者たちは自分たちの歴史を楽観的に見ていたのでしょうか。いずれもそうではありません。ではこの詩編96編は神の民が実際何時の時代にあってこの賛美が生まれてきたのでしょうか。

 同じ旧約聖書の中で類似した表現を発見することができます。「見よ、初めのことは成就した。新しいことをわたしは告げよう。それが芽生えてくる前にわたしはあなたたちにそれを聞かせよう。新しい歌を主に向かって歌え。地の果てから主の栄誉を歌え。」(イザヤ書42章9-10節)この御言葉はイスラエルの民が国を滅ぼしてしまいバビロンに捕囚されていた時に無名の預言者が神様によって立てられ預言した言葉です。

 困難に喘いでいる者たち、身動き出来ずにうずくまっている者たちに神様が今までになく、予想もできなかった新しい解放の御業をなしてくださる。そしてこの救いの御業は世界の人々に知れ渡る、と言われているのです。2021年の歩みを闇に覆われて世界中の人々が歩み出しています。しかしそのただ中に、神様は新しい救いの御業、驚くべき御業をなしてくださる、と私たちを奮い立たせてくださっているのです。 

 1月末になり、もうクリスマスの出来事は済んでしまっている。今年の年末になるまでクリスマスのことは胸のうちにしまっておこうと思っている人もいるかもしれません。しかし教会の暦では今イエス・キリストが到来してくださったことを覚える降誕節の中にあります。信仰生活の暦では、主イエスの到来を告げるアドベントから私たちの新年が始まっていることにも重要な意味が込められています。詩編96編で語られている「国々にふれて言え、主こそ王と。世界は固く据えられ、決して揺らぐことがない。主は諸国の民を公平に裁かれる」(10節)との言葉は、イエス・キリストにおいてそのまま成就していることを私たちは知らされるのです。

 この詩編の中には神様の「栄光」「(聖なる)輝き」「光輝」が連続して語られています。そしてこれらの神様ご自身の輝きにどこで触れることが出来るかというと、6節また8-9節をみると、神様を礼拝する機会を通してその輝きに触れ、その栄光に私たちも与ることができると語られています。

 「光は闇の中で輝いている。闇は光に勝たなかった」(ヨハネ福音書1:5 聖書協会共同訳)。今日私たちも御子イエス・キリストをこの世界に送ってくださり、救いの歴史を決定的に実現してくださった神様を礼拝することによって神様の栄光を世界に語り継ぐ者とされています。

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